大戦間においてドイツ政府は自動車産業の国家経済に対する重要性を認識していませんで
した。乗用車は長い間、贅沢品で不必要なものとみなされていました。役所や政府関係の人々
は、自動車を人員及び物資輸送の分野で、鉄道のやっかいな競争相手とみなしており、自動
車の発達に対して反対する立法措置をとっていました。

　しかし、第一次大戦後数年を経て、経済発展が急テンポで発達すると、数多くの自動車工場
が誕生していきます。例えば、乗用車の製造は、１９２２年には４６工場で９０モデルが、１９２３
年には６３工場で１０８モデルが、１９２４年には８６工場で１４６モデルというふうに増えていきま
した。

　このように瞬く間に戦前の水準にまで生産能力を復活させましたが、外国者の輸入に対する
誤った関税政策によって、ドイツの自動車産業の発達は行き詰まります。低い関税率、特にア
メリカの技術的優位性と高い生産方式のために、ドイツのメーカー数は激減しました。例えば、
ファファニール社，アポロ社，ヂュルコップ社，ライ社，チクロン社は生産中止に追い込まれて
います。レール社，シュテーバ社，ハノマーク社，ブレンナボア社も経営的に追い込まれていま
した。そんな中、ドイツの自動車メーカーは、コンツェルン化などを通して生き残りを謀ります。

主なものを列挙すると、

　○１９２６年　ダイムラー・ベンツ社（ダイムラーエンジン社とベンツ社が合併）

　○１９２８年　ＢＭＷ社（ディキシ社を買収）

　○１９３２年　アウト・ウニオン社（ＤＫＷ社，アウディ社，ホルヒ社，ヴァンダラー社の自動車　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　部門の合併）

などの再編がありました。中型乗用車としての主なメーカーは、アドラー社，アウト・ウニオン
社，ダイムラー・ベンツ社ですが、これらのメーカーは大戦間のこうした状況下で生き延び、第
二次大戦に向けて軍用自動車を生産していきます。

表記方法は、次の通り。

（一行目）　メーカー名と型式

（二行目）　空欄

（三行目）　分類名，○輪車×■輪駆動

（四行目）　エンジンの○気筒，馬力，変速機，ホイールベースの軸間距離，

　　　　　　　全長×全幅×全高，車体重量

（五行目）　特徴や特記事項など